第34話】 【 虎を鎖でつなげ 】

傭兵の話をするときの、落合信彦は饒舌だ。

虎を鎖でつなげ 著者動画インタビューhttp://www.shueisha.co.jp/ochiai/tiger/interview.html

で語る、作戦名「ファイブ・フィンガー」。
5カ国の傭兵が、CIAの要請によって行われようとした、「ケ小平暗殺計画」。

この話、絶対に面白いって。この計画に関わった人間から、落合が直接聞いたというのだから、臨場感あふれる面白い物に、なることは請け合い。
得意のノン・フィクションノベルというやつで、どうでしょうか。

落合インタビューで、落合の周りの若者たちは、今の日本に、凄い閉塞感を感じている者が多いという。その閉塞感を打破するため、一流大学と呼ばれる学校を合格し、それを蹴ってまでも外国の大学に行く者も多くなっているのだという。

また、それほど学力的に優位じゃない者も、同じように外国に行きたいと思っている若者も、多いのだそうだ。そのとき頼りになるのは、肉体的な力だけ。

確かに、そうだ。頭で勝負できなければ、残るは肉体しかない。
「カネの無い者は知恵を出せ。 知恵の無い者は体を使え。」という格言(?)もある。

ケンカやらしたら、誰にも絶対に負けない(?? そんな奴いるのか??)とか、
耐久力があるとか、ある程度語学力がある人間が、外国に行こうとしたら、
「一番、簡単なのは外人部隊に入ることですよ。」
と言う。そして彼の知ってる3人の日本人傭兵は、みんなそうなんだそうだ。

その外人部隊とは、フランス外国人部隊

落合信彦は「傭兵部隊」(その栄光と孤独)という本を1982年に出している。

不治の病の息子の治療費を稼ぐ為に、手っ取り早く金になるからと傭兵になった男、
旧東ドイツから脱出する際、目の前で妻と娘を射殺された男に、 結婚してやり直す気はないのか、との作者の問いに「俺は独りの女しか愛せない」と語る男。・・・・・・・・
キャンパーが言う「でも奴は悪魔にウインクはしちゃいない」
この本を読んで、傭兵に憧れる若者たちが現れた。

「酒を断ち、女を絶ち、タバコを断って、100歳まで生きるバカより、戦いに生き、死んでいった男たちのほうが、よほど輝いている!」『狼たちへの伝言』
「傭兵部隊」の取材対象フランク・キャンパーの生き方に対しての賞賛の言葉である。

格好イイ!!。なんでこうも、落合はタイトルのつけ方がうまいのか。
ところが、

最近、日本の若者たちの間で、外人部隊への傭兵志願者が増えていると聞くが、これは実に悲しむべきことだ。 9年前、オレは外人部隊を取材した『傭兵部隊』という本を出した。もし、最近の日本の若い傭兵志願者たちが、オレの本を読んで、「ああ、かっこいい。行っちゃおう」と、非常に短絡的に考えて、傭兵に憧れているんだとしたら、それはとんでもない勘違いだ。
オレの本を、普通のメンタリティーで読めばわかることだが、オレはそんなことはこれっぽっちも勧めていない。  「狼たちへの伝言3」p76

「傭兵部隊」という本は、傭兵部隊の入隊案内パンフレット、としても十分通用する。男としての強さ、そして、悲哀。普通のメンタリティーで読めば、傭兵に憧れる若者が出てきたとしても不思議はない。

傭兵を語る、落合の言葉の端々に、傭兵に対する憧憬や羨望が入っていると感じるのは、思い過ごしか? いや、そうではないだろう。
インタビューの中で、「一番、簡単なのは外人部隊に入ることですよ。」と断言している。『傭兵部隊』を書いた当時から、落合の考え方が変わっていないという証明でもある。

なお、落合の「傭兵部隊」のハッタリ、ホラに関しては、「捏造ジャーナリスト 落合信彦」( 第四章 落合信彦 オイルマン伝説の終焉 )に詳しい。

落合は、なおも語る。
「ひとむかし前のフランスの外人部隊に入ってくるのは、アルコール依存症とか、借金抱えた人間とか、単に奥さんから逃げたいとか、そういう人たちが多かった。だから命知らずになる。」

単に奥さんから逃げたいから。という理由で、命知らずの傭兵になる男って、どんな男。
そして、どんな女房なんだ。
銃弾飛び交う戦場よりも、家庭のほうが危険がイッパイってことか? これは凄い。
笑かしてくれます。このへんは、落合のリップサービスなのか、実体験なのか。
前に書いた「傭兵部隊」のエピソードを、語ったほうが良かったと思うのは、アタシだけ?

さて、フランス外国人部隊とは、どういうものか。

◇仏軍外国人部隊
 外国人兵士で構成された特殊部隊。仏陸軍に所属する。創設は1831年。第二次大戦後はインドシナ戦争、アルジェリア戦争、湾岸戦争などに投入された。現在の兵員は約7600人。うち日本人は約40人。入隊試験は数週間に及び競争率は約8倍。1回の契約は5年間で、数回の更新が可能。

毎日新聞 2005年5月11日 東京夕刊

落合は、イギリスにおけるグルカ兵は、英軍の正規軍の中に組み込まれているいう。
グルカ兵とは、ネパールのグルカ族を中心とした戦闘集団。
山岳地での機動力が頭抜けており、19世紀のイギリス領インドにおいては「イギリス帝国最強の傭兵」と言われ、活躍した。

このグルカ族がイギリス領下にあったネパールの王政を復古させ、現在のネパール王国が成立している。現在でも、グルカ族の兵士達は山岳での戦いに強いとして恐れられている。」

しかし、フランス外国人部隊が、外国人志願兵で構成される正規部隊で、仏陸軍に所属していることは、さすがの落合も、ご存知なかったのか。

それと「ひとむかし前のフランス外人部隊」というのは、いつの時代のことを言うんだろうか?
10年前、20年前、それとも第2時世界大戦前?

軍隊は規律を重んじる。アル中や女房から逃げ出すような男が、軍隊で勤まるはずもないのは、自明の理でしょう。ギャグなら、ともかく。

落合の語る斎藤さんとは、

2005年5月10日   共同通信速報


【00:57】 【カイロ9日共同】イラクの武装勢力「アンサール・スンナ軍」を名乗るグループが9日、イラク西部で激しい戦闘の末に、日本人を拘束したとする犯行声明をウェブサイト上で出した。


その拘束された日本人とは、

氏名:斎藤昭彦
生年月日:1961年(昭和36)1月5日。年齢:44歳
勤務先:グローバル・マリーン・セキュリティシステムズ社
(Global Marine Security Systems Company)。
ハート社(Hart)傘下のグループ企業。別名:Hart GMSSCO。
URL:http://www.iraqsupplier.com/docs/profiles/hart/home.htm
肩書き:警備主任(Security Manager)
勤務地:バスラ空港(イラク南部)
米国防総省発行の身分証、武器携行許可証あり。

落合に言わせると、この事件の起こる以前に拘束され釈放された3人。
特集イラク人人質  3人の横顔
彼らの家族が、政府は何をしてるんだ、日本は何をしてるんだといったのは古い日本人であり、斎藤さんは新しいタイプの日本人だ。らしい。

でもね。googleで、「イラク 人質」だとヒット数、442,000件だが、 、「イラク 3 バカ」で検索すると527,000件もヒットする。これって、日本人が、どう考えていたかが分かる資料(?)じゃないの。

また、斎藤さんは、日本で最強の習志野の第1空挺師団にいて、人を5秒で殺せる、すんごいスキルを持っているという。
5秒で人を殺すって・・・銃なら1秒。
その話じゃないことは、分かってますよ。確か落合信彦の書いた「首狩り部隊」だったかで、ピアノ線で、敵の首を切り落とすというのがあったような。多分、そのようなスキルのことを言ってるのだろうが。

 第一報が流れた瞬間に第一空挺団出身者だろうっと思いましたが、やはりそのようです。
もしこの方に間違いないとすれば、「昭和五十四年一月から約二年間、陸自に在籍していた記録がある。第一空挺(くうてい)団(千葉県)に所属し、肩書は陸士長だった。第一空挺団は、陸自の精鋭を集めた日本唯一の落下傘部隊。
 政府筋の情報では、斎藤さんは陸自を退職後フランスの外国人部隊に約二十年間所属し、現住所は仏マルセイユ。一年前からハート社のイラク支店で勤務し、イラク西部の米軍基地を警備する仕事にあたっていたという。」=産経新聞5月10日夕刊 溶解する日本

確かに精鋭を集めたエリート集団であることは間違いないが、第一空挺団とは、日本で唯一のパラシュート部隊ということだ。それと人殺しのスキルと、何の関係があるのだろうか。自衛隊では、そんなこと教えてるのか?

斎藤さんは、そんなスキルを持った人間を疎んじる日本に、閉塞感を感じ外国人部隊に身を投じたという。 落合は、このインタビューで、盛んに閉塞感のある世界というのを、強調している。しかし、考えてみれば、閉塞感のない世界など、どこにあるというのだろうか?

人が生きていく上で、閉塞感を感じないで生きていける場所なぞ、あるわけはないのではないのか。

「斎藤氏の一報が入ったとき、彼は死んだと思った。」と得意げに語っている。
かつての落合であれば、こんなことは言わなかった。おそらく、こうだ。

「彼が襲撃された。という第一報が入った直後、ある情報筋から『彼は、生きてないだろう』という情報がもたらされた。」

こう言えないのが、今の落合の立場を象徴しているのだろうか。

しかし、思ったというのは、単に自分の主観を語っているにすぎない。
みんなは、生きていると思っていたのかもしれないが、俺は違うぞ。とでも言いたかったのか。

落合も語っているが、この時の日本政府の対応は、バタバタとし醜態に近いものだった。
では、どうするべきだったのか。

戦争に関する無知と無自覚

 その非常識はまず、不意を打たれて狼狽した日本政府と与党の「救出に全力をあげる」という、まったく非現実的で的外れな対応として現れた。
 というのも斎藤さんが傭兵つまり「非正規戦闘要員」であることが明白な以上、日本政府にできることはせいぜい「ジュネーブ条約に基づく捕虜としての正当な扱い」を求めるコメントを出し、次いで彼の雇用主であるハート・セキュリティー社に救出を要請、それに対する協力を申し出る程度のことしかできないのは、戦争という現実を直視する者には歴然としていたからである。

しかしながら、イラク内の実情は、

 斎藤さんの拘束が明らかになった5月10日、バグダッドの反米武装勢力の幹部は朝日新聞の取材に応え、外国警備会社は「イラク人にとって米軍以上に危険な存在だ」と語っている。なぜか?
 彼らは「復興請負業者を護衛して、イラク国内を移動するが、沿道を銃や機関銃で威嚇しながら猛スピードで突っ走り、何か不審なものがあれば、警告もせずに銃撃する。それでイラク人が死傷する事件が起きている」からである。
さらに「イラク人が被害を米軍に訴えても『知らない』と突っぱねられ、泣き寝入りするしかない」(朝日:5/11)のが実態なのである。
 正規軍のように空軍や機甲部隊の支援や援護を期待できない傭兵たちにしてみれば、目に映るすべての不安は機先を制して掃討する以外にない。
たとえそれが後で非戦闘員だと判ったところで、一瞬の躊躇が自らの破滅につながる危険の前では自制は極めて難しい。●イラク・元自衛官戦死の衝撃

だからといって、「アンサール・スンナ軍」を弁護するつもりは毛頭ない。しかし、これが、戦争の現実である。

そのエッセイによると、ゲリラ部隊に襲われたとき、不利な状況の中で傭兵は「アシール」と繰り返し叫びながら投降しようとした。
「『アシール』とはアラビア語で捕虜のこと。つまり彼は武装勢力に囲まれながら『捕虜だ、捕虜だ』と叫んでいた…イスラム教では捕虜の殺害を禁じている…その叫びに一斉射撃が止む…その一瞬の隙こそが斉藤さんが待ち望んでいたわずかな綻びだった…銃撃がやみ訪れる一瞬の静寂。
それを待っていた傭兵が選択した次の行動は、反撃!!であった」、そして英雄の死。大崎善生はエッセイの最後を次の文で閉める。
 「傭兵はイラクの地で、果てた。誰にも利用されることなく、汚されることなく、蜂の巣のようにされることを知り尽くし、まるでそれを望んでいたかのように。ただひたすら孤独に、誇り高く−」。
http://www.ai-trip.com/users/ai07/backnumber27.html

誰にも利用されることなく、ただひたすら孤独に、誇り高くかどうかは、個人個人の考え方なので、とやかくは言うまい。ただ、彼は根っからの軍人であった。死中に活を求め、それが果たされなかった。というだけに過ぎない。

次に傭兵に、憧れる若者たちへの斎藤氏からの警告

 フランス外国人部隊に憧れ、99年5月から1年間入隊した神戸市の会社員は、
「空手を学ぶうちに『極限まで体を鍛えたい』との気持ちが強くなり」大学卒業後に自衛隊に入隊、「仲間内で見たビデオで初めて仏外国人部隊を知り、「国際部隊での活躍に、気絶するまでの訓練。自衛隊には絶対にない厳しさにあこがれた」
(http://www.asyura2.com/0502/bd39/msg/607.html)と言う。だが彼はいま、入隊試験の試験官だった斎藤さんを振り返って言う。
 「部隊に入っても、君の求めるようなものは何もない。今のうちにやめておいた方がいい」と
(斎藤さんは)一生懸命に言っていた。
当時は、心を試すための言葉だと受け止めていたが、今思えば、本心で言ってくれていたのかも」と心中は複雑だ、と。
 斎藤さんのこの言葉は、日本社会で疎外感に悩む青年たちが不用意に傭兵や外国人部隊に憧れることに対する強い警告、日本政府と日本社会が日本人傭兵たちに発することさえできなかった「警告」なのだと、わたしには思えるのだ。
●イラク・元自衛官戦死の衝撃

彼を不当に貶めようとか、落合の如く、英雄扱いしようなどとは思わない。彼は自分の意志で傭兵という職業を選び、傭兵として死んだ。ということなのだ。

落合は、「傭兵は、小市民的メンタリティーでは生きて生きたくない。なんか冒険がしたいのだ。」とセンチメンタルにいう。しかし、職業軍人としてしか、生きていけない人間もいるのだ。

また、今、新しいタイプの日本人が出てきている。と落合は、いうが、どうなのか。
日本が明治という新時代になり、欧米に追いつけ追い越せを、合言葉にしていたときの人間たちのほうが、ダイナミックでスケールがでかいような感じがする。

明治政府の高官、官僚たちの、多くは、洋行帰りであり、新しい日本を作るという意欲に満ちていた。つまり、国のため、「国家百年の大計」というものだ。
もちろん、自分自身のためというのも否定しないが。

中には、高橋是清(首相、蔵相)のように、アメリカで奴隷として売られた人間さえいる。
彼らのバイタリティを持ってして、今の日本があるのは、まちがいない。

それでは、明治時代のほうが、開放的だったのかといえば、むしろ今以上に閉塞感に満ちていたことは、想像に難くない。見習うべきは、ただ単に外国に憧れるのではなく、日本人が日本人としてありえた、明治の男たちではないのか。

落合の言葉を聞くと、今、外国に行きたいと思っている多くは、自分個人のためだけ、と思えてしまうのだが。

また、自己責任うんぬんと言っているが、自己責任など、パソコンをやっていれば、ごくごく当たり前の話だ。

マイクロソフトのWindows updateをしたら、パソコンが前より具合が悪くなったとか、場合によっては、パソコンが立ち上がらなくなったとか、エロサイトを覗いて、ウィルスに感染した。出会い系のスパムメールに反応して、法外な料金を取られた。などなど、みな自己責任の範疇だ。

えっ、たとえが、ちょっと細かすぎる。ぼくみたいな、小市民じゃ、こんなもんですよ。


目次
誰も知らない落合信彦
●落合信彦 ブックス資料室
●奥菜秀次ブックス資料室
●あめりか冒険留学
●禁断のデビュー作
●落合信彦の消えた履歴書
●ぼく、ノビです
●忘却のかなた
●英会話睡眠学習
●封印された過去
●奥菜秀次氏への伝言
●奥菜秀次氏からの返信
●落合信彦・最後の真実
●落合信彦・破局への道
●ポストスクリプト2005
●落合信彦に全てを捧げた男
●捏造−ジャーナリスト落合信彦・増補新版
●あめりか冒険留学ふたたび
●勝ち組クラブ(The Winners'Club)
●落合・奥菜関連グッズ
●隠し通したかった本
●見えない政府
●日本人のメンタリティ
●ジャーナリストとしての姿勢
●人は我をCIAと呼ぶね 前編
●人は我をCIAと呼ぶね 後編
●ノビーは、あるぜんちな丸で海を渡った。前編
●ノビーは、あるぜんちな丸で海を渡った。後編
●国際ジャーナリストの情報分析
●捏造か真実か
●奪われし者たち
●消された勇者たち
●落合信彦と朝鮮
●差別に必要なもの、それは区別
●失うものといえば命ぐらいしかない
●騙し人
●虎を鎖でつなげ
●捏造、即、削除、南京大虐殺生き証人
●捏造する人々
●教科書から消えた戦争
●危ないジャーナリズム
●若き日の落合信彦
●マイ食器という考え方
●村山富市は何を成し、何を成さなかったか?
●安倍知子 国土保安隊
●山内惠子 気楽な稼業ときたもんだ!
●金子安次 腐れ外道の鬼畜帝国軍人
●捏造作家 吉田清治という男
●親日真相究明法と親日人名辞典
●朝鮮を知るための参考リンク集