第22話】 【 人は我をCIAと呼ぶね 前編】

「人は我をCIAと呼ぶね。」

これは『月刊プレイボーイ』1978年6月号掲載のPLAYBOY INTERVIEWの中での、落合信彦の歴史に残る名言である。

インタビューの冒頭

落合  インタビューのコツ、知ってる?
PB   いけねえ、先制のジャブくらっちゃったな。教えてください。それを逆に応用して落合信彦をインタビューする。
落合  相手を怒らすんですよ。アメリカ人なんかを取材するときも、最後にむこうにジャップと呼ばせるぐらいまで怒らすわけです。そうすると本音が出てくる。ぼくはこの間、『2039年の真実』で、国務省のある次官を取材したんだけど、最初はタテマエ論しか言わない。PLAYBOY INTERVIEW (p248)
(引用ページ番号は、集英社文庫「男たちのバラード」)

この相手を怒らすというのは、落合信彦にのみ通用することであって、決して使ってはいけないテクニックである。と思う。

しかし、相手の本音をどうしても知りたい。何があっても知りたい。という場合には、ある関係においては非常に有効な手段であることも確かである。

その関係とは、 恋人同士や、夫婦の間などである。ついつい興奮して、言ってはならないことまで口走る。本音の本音の部分までも聞きだせる。

ただし、その後、ふたりの間に徹底的な亀裂が生じ、関係修復不能という可能性も充分過ぎるほどある。また、本音なんぞ聞かなければ良かったということもあるので、非常に危険である。

相手を怒らせて、碌なことがあるわけがない。
アッ、これが日本人のメンタリティか?

ひょっとして、このテクニックって、痴話喧嘩から得たものだったりして・・・
女にゃ、もてたらしいからねぇ。えっ、今も現役?

落合は、この怒らせテクの例として、国務省のある次官から、

スカルノを追い落としたとき、CIAがワシントンにあるインドネシア参事官に近づいて、そいつをエージェントに引き抜いたわけ。そして、沖縄に、中国人、フィリピン人、インドネシア人の雇い兵が数千人もいたということがわかったわけよ。相手はもう完全に頭に来て自分がどんなに重大なことを口走っているか、気がつかないんだよね」
PLAYBOY INTERVIEW (p248)

という、秘密情報を聞き出したときのことを、とうとうと述べている。

沖縄とフィリピン諸島に武器と装備の巨大な貯蔵所が建造された。インドネシア人たち、フィリピン諸島の人たち、中国人たち、アメリカ人たち、他の傭兵たちが沖縄とフィリピンに集められ、その上、活動に協力していた。
(L.Fletcher Prouly,The Secret Team, prentice Hall,1973,p323)
落合信彦 破局への道 (p85)

ありゃ、まあ、「ザ・シークレットチーム」に、とおの昔に書いてあり、秘密でも何でもないですよ。自分がどんなに重大なことを口走っているか、って、落合さん、あなた完全に騙されてるよ。

この国務省の次官って、この男のことかな?

オレの友人のアメリカ人で腕はからっきしダメだけど、口はものすごく達者なヤツがいる。(中略)バーやパーティなどでケンカを売られた。するとヤツが立ち上がってかまえるんだネ。
こっちから見るとおよそ空手のかまえにはなっていないけど、普通のアメリカ人には、ただただミステリアスに見えるんだな。そこでヤツは早口にまくし立てる。
「オレは、空手を使いたくない!しかし、お前らが使わせるんならやむを得ない。脳天をブチ割られたいヤツは、かかってこいッ!」
99パーセントはこれでケリがつく。百人にひとりくらいは、それでもやるというのが出てくるけど、そういうときは、ヤツはおれのうしろにかくれてしまう。そこでオレがやるわけよ。
その友人のブラッフィング(挑発)・テクニックは実にうまかった。弱いヤツは弱いなりに自衛と攻撃の方法を持っているという良い例だね。
ヤツをジーッと観察していると相手の心理を読むのが実にうまいんだな。ケンカ相手でも、女でも、大学の教授でも得意の話術で手なずけちゃう。そいつは今、国務省で働いてるんだけど、あんなのに外交交渉でこられたら我が政府は、ブラッフ・アウトされること確実だね。国務省もそういうヤツの特性を買って入れたんだろうけど。
PLAYBOY INTERVIEW (p260)

この男、おそらく落合の大学時代の友人と思われるが、情報提供者AAAのリストの中からは、はずしておいたほうがよさそうですな。

うーん、さすがは、アメリカ国務省の役人だね。天下の国際ジャーナリストを手玉に取るとは・・。

インタビューのコツに、話を戻して、

マイケル・ジャクソンのインタビュー番組「Living With Michael Jackson」がイギリスで放映され大反響(視聴率53.9%)が起きたが、このときのインタビュアー、マーティン・バシールは、マイケルをおだあげ、その気にさせて、ペラペラしゃべらせ、あとで梯子をはずすという、ジャーナリストの鑑のようなことをしている。

このPBのインタビュアーも、語り手、落合を上手におだてあげ、気持ちよく語らせている。ただし、落合のしゃべっていることが本音か本当のことかどうかは、別問題ではあるのだが。

洋の東西を問わず、相手を「気持ちよく喋らせる。」これが、インタビューの本道でありコツでは?

前に読んだときには気づかなかったのだが、

PB   英語はそうとう勉強したんでしょう。
落合  これは、高校二年のときから、毎日曜日、皇居に出張するの。外人の観光客がうんといるでしょう。案内しようかって売り込んで、英会話の練習するわけですよ。だからオレくらい教育に金のかかってないやつはいない。アメリカの大学はオール奨学金だしね。

GOLDEN SCHOLARSHIP GUIDE『スポンサーの探し方』(p5)
「私が偶然東京で会い、ほんの3時間足らず、 東京を案内してあげたことによって親しく文通するようになったその人に、後で返す約束で、 アメリカまでの旅費を立替えてもらいました。その額は約10万円でした。」
詳細は、第2話 落合信彦・禁断のデビュー作

つまりは、皇居に来ていたアメリカ人と知り合いになり、その人の援助を受け、渡米したということなんでしょ。落合さん。

当時、アメリカへの旅費は、船のエコノミークラスでも最低300ドル(十万八千円)かかった。 アメリカよ!あめりかよ!(p37)

旅費の金額が、ぴったしカンカンである。(古過ぎて、誰も知らんか?)
一方、奨学金の額は、

落合  あの頃の金で3千800ドル。1ドルが360円。ヤミだと450円の時代だから、すごいですよ。だけど、渡航費まではめんどうみてくれない。それで弱った。全財産が20ドルだからね。しょうがないから、横花の波止場にテントを張って寝泊りしながら、タダで乗せてくれる船を探した。3日目に、アルゼンチナ丸という移民船に乗っけてもらえた。船底のボイラールームにね。ブラジル行きだけど、ロスアンジェルスに寄るんですよ。

旅費の立替えが10万円というのは、約300ドル。3千800ドルの奨学金が貰えるわけだから、これであれば、借りる方も、貸す方にも抵抗はないはずだ。

この奨学金が支給される試験のことを落合は、こう書いている。

高校卒業と同時にアメリカ大使館を訪ねた。対応に出た文化広報官にスカラシップで留学したいと言うと、大学卒業生にはフルブライトのようなスカラシップ制度があるが、高校卒業生にはそのような制度はない。しかし、個々の大学が外国人留学生にスカラシップ制度はあり、これは高校卒業生でも対象となるという。この種のスカラシップを得るには、まずCEEB(カレッジ・エントランス・イグザミネーション・ボード)にパスせねばならない。CEEBとはアメリカの高校生が大学進学のとき、受けねばならない統一試験である。今日、アメリカへの留学生はTOEFL(テスティング・オブ・イングリッシュ・アズ・ア・フォーリン・ラングウェッジ)なるものを受けるが、これは単なる英語力のテストで、およそ入学試験などと呼べるものではない。
CEEBは八百点満点で、六百点以上とればだいたいアイビー・リーグの大学から奨学金がもらえる。 アメリカよ!あめりかよ!(p32)

しかし、大学試験いろいろによると

【大学入学のための学力評価試験・資格試験】
SAT  Scholastic Assessment Test
 SATは、アメリカの大学に進学する際に最も多く利用されている学力評価試験。アメリカの大学、短大などによって組織されているCEEB(College Entrance Examination Board)が民間のテスト機関であるETS(Educational Testing Service)に委託して実施しています。

となっている。
TOEFLが、およそ入学試験などと呼べるものではないのかは知らないが、CEEBとは組織の名前であって、テストの名前ではないと読めるのだが・・・間違ってるのかなぁ?

国際ジャーナリストが、こんな初歩的間違いを犯すわけがないか。ましてや自分の受けた試験だしなぁ。

落合が、横浜の山下公園で3日間テントで泊り込み、拝み倒して乗せてもらった、あるぜんちな丸の写真を見つけました。

あるぜんちな丸写真
http://40anos.nikkeybrasil.com.br/ptbr/index.php

昭和37年4月2日神戸出帆。
落合信彦が、この船で渡米してから、1年半後の雄姿である。
NHK、「その時、歴史が動いた」松平アナ風に。

あっ、半年後だわ。
んもう、ノビーったら。60年渡米といったり、61年と言ったりするもんだから、間違ったじゃないの。

ということで、次回につづく。


目次
誰も知らない落合信彦
●落合信彦 ブックス資料室
●奥菜秀次ブックス資料室
●あめりか冒険留学
●禁断のデビュー作
●落合信彦の消えた履歴書
●ぼく、ノビです
●忘却のかなた
●英会話睡眠学習
●封印された過去
●奥菜秀次氏への伝言
●奥菜秀次氏からの返信
●落合信彦・最後の真実
●落合信彦・破局への道
●ポストスクリプト2005
●落合信彦に全てを捧げた男
●捏造−ジャーナリスト落合信彦・増補新版
●あめりか冒険留学ふたたび
●勝ち組クラブ(The Winners'Club)
●落合・奥菜関連グッズ
●隠し通したかった本
●見えない政府
●日本人のメンタリティ
●ジャーナリストとしての姿勢
●人は我をCIAと呼ぶね 前編
●人は我をCIAと呼ぶね 後編
●ノビーは、あるぜんちな丸で海を渡った。前編
●ノビーは、あるぜんちな丸で海を渡った。後編
●国際ジャーナリストの情報分析
●捏造か真実か
●奪われし者たち
●消された勇者たち
●落合信彦と朝鮮
●差別に必要なもの、それは区別
●失うものといえば命ぐらいしかない
●騙し人
●虎を鎖でつなげ
●捏造、即、削除、南京大虐殺生き証人
●捏造する人々
●教科書から消えた戦争
●危ないジャーナリズム
●若き日の落合信彦
●マイ食器という考え方
●村山富市は何を成し、何を成さなかったか?
●安倍知子 国土保安隊
●山内惠子 気楽な稼業ときたもんだ!
●金子安次 腐れ外道の鬼畜帝国軍人
●捏造作家 吉田清治という男
●親日真相究明法と親日人名辞典
●朝鮮を知るための参考リンク集