HOME誰も知らない落合信彦落合信彦ブックス資料室
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落合信彦ブックス資料室 1

(1〜25)  (26〜50)
(51〜75) (76〜)

1.二〇三九年の真実

2.20世紀最後の真実

3.モサド、その真実

4.アメリカの狂気と悲劇

5.男たちのバラード

6.アメリカの狂気と悲劇

7.20世紀最後の真実

8.21世紀への演出者たち

9.モサド、その真実

10.英雄たちのバラード

11.石油戦争

12.ザ・スパイゲーム

13.ザ・スペシャリスト

14.傭兵部隊

15.日本が叩き潰される日

16.ザ・スクープ

17.勇者還らず

18.勇者還らず

19.アメリカよ!あめりかよ

20.38度線崩壊

21.ただ栄光のためでなく

22.戦士に涙はいらない

23.「聖地」荒れて

24.男たちの伝説

25.謀略者たち

(1〜25)  (26〜50)
(51〜75) (76〜)

勇者還らず
勇者還らず
落合 信彦
集英社
出版日:1987-06
詳細はコチラから

※落合信彦氏のほぼ全ての作品から溢れ出る迫力とスピ−ド感、またその作品自体を支えるしっかりとした取材力・構成力に関しては今更ここに述べるまでもないが、落合氏の筆の魅力が一番冴えるのはやはり「諜報モノ」であろう。氏のその抜群の取材力と各界におけるコネクションの豊富さゆえか、雑誌によっては良くてノンフィクションライタ−、下手をすると国際政治評論家のような間違った扱いをしているところもあり、氏の純粋な「小説ファン」の私にとっては甚だ残念な事である。

数ある氏の「諜報モノ」の中でも、特にイスラエル諜報機関に対する氏の思い入れはかなり深いように思える。機密性が第一に問われる各国の諜報機関の中でもイスラエル諜報機関はまた次元の違った機密性を持っている(といわれる)為、氏の想像力を最大限に掻き立てるのかも知れない。
犯人当てミステリ−の類ではないのでここでスト−リ−のあらましを説明する事は十分可能であると思われるが、この小説の中で起こる一つ一つのイベント同士が絡み合い、クライマックスにおける各登場人物の動作の心理的説明を果たすという大事な伏線の代わりになっている(と私は解釈する)ので遠慮しておく事にしたい。ただ、純血日本人として生まれながらイスラエルで育ち、現イスラエル諜報機関のメンバ−という難しい設定の中で生まれたこの小説の主人公「乃木」のその存在自体の非現実性を私に一度も感じさせなかった落合氏の筆力に改めて感服した。

この作品に限らず落合氏の最近の作品を含めて一つだけ惜しい面をあげるとすれば、氏の対CIA感がかなりステロタイプ化してきている気がすることであろうか。「いつも間抜けなCIA」という設定もいくつか続くと飽きてくる。
ただ、これは私個人の好みであるので、他の読者の中にはCIAが他の諜報機関に上手く出し抜かれたりする箇所を読んで胸がすっとするという向きもあるかもしれないが。

古い本なので街の書店で探すのは大変かもしれないが、Amazonなら在庫の心配もないだろう。新刊・売れ筋の本に食傷気味の方、是非御一読を。