【第15話】 【 きりたんぽ 】

はたはた(鰰)・しょっつる・キリタンポといったら、

秋田を代表する名物料理。

とくに「きりたんぽ」といったら「秋田」というぐらいに有名な食べ物です。

新米の取れる頃になると、必ずテレビ(ローカル放送、NHK問わず)で、きりたんぽ作りの映像を流しますが、 チョッと前までは、(ちょっと前・?

「きりたんぽ」なんじゃ、ソレ?という世界でした。なにせ、初めて食べたのが、20歳過ぎですから。

断るまでもなく、ぼくは根っからの秋田の土着人です。江戸っ子は、三代住んだら江戸っ子というそうだが、三代なんて生易しいもんじゃございません。

そんな秋田人が、なぜ「きりたんぽ鍋」がテレビで見るだけの、食べ物だったのか!?
その秘密が、今、あかされる!!!

なんて、そんなだいそれたもんじゃ、ございません。ようは、食べる習慣がなかった。はい、それだけです。

いまでこそ、どこの店でも、何種類もの「きりたんぽ」が一年中、売られていますが、 県南地区には、「きりたんぽ」を家庭で食べるという風習は、ありませんでした。 (断定

もともと「きりたんぽ」は、県北地方の食べ物です。

キリタンポ鍋に入れる鶏肉は「比内地鶏」ですが、 日本三鶏で有名な「比内鶏」の名前の由来は、大館市の比内地区から名前を取ったものです。(他に薩摩シャモ(鹿児島県)、名古屋コーチン(愛知県)で日本三鶏。)

ここからは私見。
「きりたんぽ」が出来た背景には、秋田が米どころとはいっても、県北では、毎年、安定した米の収穫量を上げる というには、地理的条件・気象条件から難しいものがあった。

そこで、一回の食事の量をふやすため、おかずと一緒にすることにした。そのため、ご飯を杉の棒に巻きつけ、 囲炉裏の火であぶることに よって、日持ちを良くした。つまり保存食の役割も持っていた。

(と書いたら「全く保存の利かないもの」という、ご指摘をうけました。)
あとは、年貢米の取立てに、ご飯に炊いてしまったものまで は、持っていかないということがあったのかどうか。これは、単なる思い付きですけど。

あと、「だまこもち」というものが、ありますが、これも「きりたんぽ」と製法が同じ。キリタンポは棒に巻きつけるのに対し、「だまこもち」は、こねて団子状にしたもの。これも、県南地区では、食べられていなかった。

(だまこもちは「おやつ」感覚の食べ物というメールをいただきました。) ちなみに、県北では、「納豆汁」は食べないそうです。びっくりでしたが、やっぱりね。ちなみに、「比内鶏」は食べられませんよ。もし食ったりしたら、お縄を頂戴することになります。「比内鶏」は、天然記念物ですから。

食用で出回っているのは、「比内地鶏」というもの。お間違いのないように。 (って、比内鶏なんか手に入らないってば・・

「キリタンポ鍋」を、むかしっから家庭料理として食べていたのは、どの辺りまでなんでしょう?秋田市周辺が、どうだったのかは分かりませんが、仙北・大曲地方でも家庭料理の中にはありませんでした。

これは、「露山人納豆製造機」で有名?な、露座人氏が、この地区の出身で、

 田舎居るとき、しょっつると意識して食ったのは1回しかない。
 きりたんぽにいたってはそっちで食ったことない。
 謎の郷土料理なのかよ! だった。

とメールに書いてあることでも分かります。

僕自身のことを言えば「きりたんぽ鍋」が謎の郷土料理だったころ、能代出身の人が

「店で売ってる「きりたんぽ」なんて、あんなのニセモノだ。本物は、あんなのじゃない。個々の家庭で作ったものが一番だ。」 と力を入れて話すのを聞いたことがあります。

ここまで言うんだから、これは美味いぞ!!!期待は、どんどん大きくなりました。

初めて食べたのは、秋田市で郷土料理の店をやってる人がいて、その人からのお歳暮でした。 その店は、きりたんぽ鍋が有名な店。味は保証付き、のはず。

なにせ、秋田に生まれてこのかた食べたことのない、幻の郷土料理を食する日がきたのだ。ついに、ついに、苦節20年以上、いま目の前に本物がある。・・・・・思わず、涙がこぼれそうになりました。

感想ですか・・・・

「きりたんぽ」が入ってなきゃ美味いのに」

再び、露座人登場、

見たことのないわが郷土料理。
それにあまりうまいと思ったことないし。
うまいのは鶏だしがうまいんでないかの。
名人のつくったのはうまいらしい。
TVで見た。
作りたてというのがポイントみたい。

と、激しく同意見でありました。しかし、この作りたてというのは、「きりたんぽ」の作りたてなのか、「きりたんぽ鍋」の作りたてなんだろうか?

あっ、露座人さん、このことについての返事はいりませんよ。

その後、何度か「きりたんぽ」を食べる機会がありました。確かに、ほんのりと、ご飯のおコゲの匂いがして、芳醇として、ふくいくな・・・・・・・・・・・・・・・

ワォー!!、

雁屋 哲には、到底、かなわん!!!。
ボキャブラリーが・・・、ボキャブラリーが・・・・
あまりに不足・・・・・・・・
でも、正直いまだに「きりたんぽ」には・・・・。

ただ、「きりたんぽ鍋の味付けは・・・」醤油で味付けをし、中の具は、鶏肉、マイタケ(きのこ)、コンニャク、セリにネギ、「きりたんぽ」の変わりに、芋の子を入れると、まんま「芋の子汁」なんです。お歳暮で頂く「きりたんぽ鍋」には、他にゴボウや焼き豆腐なんかが入ってますけどね。でも、「芋の子汁」にゴボウは入れんないよなあ。

もし、「芋の子汁」を食べたことがないという方が、おられましたら、「きりたんぽ鍋」のセットのキリタンポを 除いて、「芋の子」を入れてみましょう。

はい、芋の子汁の出来上がり。    
(オイ、オイ・・

県北地方では、なべっこ遠足のときは、「きりたんぽ」だそうです。
やっぱ、間違ってなかったじゃん。

お試しあれ。


きょうのレシピ       (いつから、こんなコーナーが・・・

「セリ焼き:セリ蒸し」どちらも同じ。 「キリタンポ鍋」や「芋の子汁」にかかせないのが、「セリ」。 その「セリ料理」を一品。

材料

セリ
油揚げ
糸コンニャク

調味料

醤油
酒  (適宜)
砂糖 (適宜)

それじゃぁ、レシピを

セリを適当な大きさに切り、油揚げ、コンニャクを鍋に入れ、調味料を加えて乾煎りする。 このとき、大事なのが、セリの根を入れるということ。
少し、甘辛く味付けをするのがポイント。

セリの根のシャキシャキとした、歯ごたえが最高。

このまえ、昼の「みの もんた」の番組で、秋田県湯沢市三関地区のセリをやっていた。

その時の女性リポーターが、「根が白くて長いですね」と感心してみせてたが、売ってるセリの根って短いもんなの?どこでも、長いままで売ってると思ってたわ。

しかーし、セリの料理を披露する場面で、その中の一品に「キリタンポ鍋」を出してたが、あれは、反則技だ。 あれは、絶対「芋の子汁」だって。 そうでなきゃ、おかしいって。 あそこにいた、ばあちゃん達が子供の頃から、「キリタンポ鍋」を食ってたわけがないんだから。

あの鍋の中に入ってた「きりたんぽ」は、手作りではなく市販品とみた。 TV局の意向というやつか・・・。

「秋田」=「きりたんぽ」