【第14話】 【 納豆汁(なっとうじる) 】

納豆汁を書くにあたり、ネットで調べてみたら、

違う、違う違う、あまりにも違う。全然、違う。

まず、山形の郷土料理となっているが、よその家で、どうなのかは知らないが、 我が家では正月の雑煮といえば、納豆汁にモチが入ったものをいう。

母親が嫁に来たときには、そうだったというのだから、それ以前から納豆汁は、 雑煮として七草粥の代わりとして、我が家では食されていた。

そして、「なっとう汁」は、ぼくのまわりの、どこの家でも、ごく普通に食べられていたし、 藁で作った「藁苞(わらづと)」というものに煮豆を入れて発酵させた納豆も普通に作られていた。 自家製の納豆が、うまいとは思わなかったけどね。

納豆汁は、県南部の代表的郷土料理だと、子供の頃からずーっと思っているのだが・・・?

はるか昔のテレビドラマの中の、エピソードなのだが、
(題名も出演者も記憶に残っていない)
お手伝いさんが、「納豆汁」を作ったところ、そこの主人か誰かが、 「初めて食べたけど、おいしいね。○○ちゃん、君のいなかでは、よく食べるの?」と聞かれ 「秋田の湯沢では、冬にはよく食べますよ。」と答えたのを鮮明に覚えている。

あの、お手伝いさん役は、 楠 トシエ だったかも?(まったく自信なし)

それを見たとき、「東京じゃ、納豆汁は食わないんだ」ということを初めて知り、 秋田の湯沢という名前がテレビ放送されたのを、ちょっと誇らしく思った。 (・・子供ながらに、ちょっとした郷土愛?)

このときの記憶が、県南部という先入観を与えているのかもしれない。

納豆に関して言えば、後三年の役 (1086-1088)のときの源 義家の東北遠征のエピソードなどあるが、
詳しくは、 秋田の食ホームページ 納豆で、どうぞ。

納豆発祥に関しては諸説あるが、中国から来たものであると、邱永漢 が主張していた。 おそらく、そうであろうとは思うが、 邱永漢の本家本元といえる中華思想が、鼻につきはじめ、 嫌になってしまった作家だったなぁ。

って、まだ現役だったのね、失礼しました。

その邱永漢が書いていたと思ったのだが、納豆を腐っているのに、なぜ豆腐と呼ばないのか?

豆を納めるから、納豆で、
豆腐は・・・・・・・豆を・・・・・・・豆を・・・・・・忘れた。

いくら食べ物に不自由していた昔の人だからって、腐ったものは食べませんてば。

よく、牛肉は、腐る直前がうまいんだ。
なんて、知ったかぶりしている人間がいるが、腐る前ではなく、 充分発酵した (寝かせた)であって、それを過ぎると、味は極端に落ちる。
腐る直前の物を、食ったりしたら、 まちがいなく食あたりします。

それは、ともかくとして、「納豆汁は山形だけの郷土料理」と認知されてしまっては、 やっぱマズイっしょ。なにより山形の「納豆汁」で許せないことがある。それは、 コンニャク。

「納豆汁」にコンニャクなんかは絶対いれない。間違っても入れない。ということで 「納豆汁にコンニャク」を、友人、知人にリサーチなんぞをしてみた。

「コンニャク!!エッエー!!」と目をむく者、
「反則だ、反則」という者、
「絶対、許せねぇ」
という者ありで、非常に不評であった。

至極、当然の答えだと思います。ということで、 「納豆汁」に「コンニャク」を入れた作り方は、邪道です。

納豆汁の具といったら山菜ですよ。なにはなくても(じゃ、困るけど) 山菜。わらび、ぜんまい、サク、竹の子(ねまがり竹)、きのこ、等々。

「サク」のことは、よそでは、なんというんだろうか?
(横着しないで、調べろよ。だってメンドイ。シャクと呼ぶところもある。
こんなんでどう?

春に採れる山菜で、食感が至極いい。塩漬けしておいて、流水で塩抜きしてから調理する。 煮物に入れたり、味噌汁の具として使用される。

山形の月山で、寒河江から来たという、年配の山菜採りの人に、「サク」を指差し、 「これ、このへんで食べます?」と聞いたところ「ううん」と首を横に振られたことがあった。

ただし、彼だけが「サク」を知らなかったのか、知ってて知らないふりをしたのかは、定かではない。

山菜を知らない若い人が、あふれんばかりに生えているモタシ
(ナラタケ、モタチ、 岩手でボリ、北海道でボリボリ、等呼び名多数)を、 一緒にいた年配の上司に見せ

「こんなに、生えているなんて毒キノコですよね」訊ねたところ、
「イヤー残念だな。食べられないよ」 と教え、
翌日、休暇を取ってカミサンと一緒に、その場所に行き、車に入りきらないほどに採った。 という話を聞いたことがある。

案外、山菜採りは、油断がならない。

岩手では「ラクヨウ」(イグチ科のきのこ)は食べないと聞いていたので、雫石にいったとき、 「岩手じゃ食べないって聞いたけど。」と言ったところ「食うよ」とあっさりと答えられたことがあった。
その人は、水沢の人だったんだけどね。 雫石あたりでは、チョッと前までは食べなかったらしい。


「納豆汁」のレシピ

「納豆汁のもと」「納豆汁の具」というやつが売っているので、これが一番簡単なのだが・・・・・

あっ、もっと簡単なものがある。

永谷園の「納豆汁」
これ結構うまいんだよね。 作り方は、
お湯を注いで、ハイ出来上がり。
評判いいんだよ仲間内じゃぁ。

それと、「納豆汁」の缶詰も売ってるな。
それを、お椀にあけて・・・・・じゃ、レシピにならないんで本格的な方法を。

材料  (あいもかわらず、量は適宜で)
納豆 粒納豆でもいいが、ひき割り納豆の方が楽
味噌 やや濃い目にする
豆腐 好みで加減
山菜  上記山菜類好きなだけ
油揚げ 適当に
ねぎ  適当に
セリ  好みで(やや、小さめに切る)

まず、納豆を包丁で細かくきざみ、すり鉢ですりおろす。
そこに、味噌を入れて、なおも摺る。
出し汁を加えてのばすという方が、楽かも。

ここからが、肝心。
味噌でといた納豆を、「ざる」で濾しながら溶き入れる。

あとは、塩出ししたサワモタシ、ラクヨウ、ムキタケ、タケノコ、サク等を入れる。 納豆汁には、アミコ、ラクヨウ、などの、ツルリンとした食感のイグチ科のキノコが良く合う。 ムキタケも、納豆汁のとの相性は抜群である。

山採りの山菜なんか、手に入らないという人は、 厚揚げ、白菜(水っぽくなるので、量は少なめ)などでも、 うまい。

できれば、ワラビは無理してでも、用意したいところです。ワラビやゼンマイはダシが出ますからね。 具沢山でなければ、「納豆汁」とは呼べない。 とにかく、具は、あふれるほどに入れることです。

つい調子にのって、エリンギなんていったけど、今はやりのキノコなんで、入れてみただけです。 失礼しました。

エリンギは縦に薄く切って、塩コショウして油いためにすると、バター焼きより、はるかにうまいですよ。

匂いつけに醤油を1、2滴というのもアリです。

エリンギには、ちょっとクセのある匂いがありますが、採り立てだと匂いは気にならないほど薄いものです 。ただし、採り立て、すぐというのは、簡単には手に入りませんけどね。

わたくし、エリンギを納豆汁に入れたことは、ありません。ハイ。

簡単料理で出来なくもないが、「なっとう汁」は実際は手の込んだ料理である。 味噌汁の変り種として捉えている人がいるかもしれないが、汁物と煮物の中間というか、 汁物に限りなく近い煮物 と考えるべきである。

ワラビを、おひたしぐらいの大きさに切ってあるのを他サイトで見たが、
ワラビ、ゼンマイ、サク、などは、1センチほどに切る。 長く切るより、このほうが食感がいい。 ネマガリタケの竹の子は、薄く斜め切り。これも、食感のため。

あとは、沸騰しないようにコトコトと煮る。
豆腐、油揚げ、などを入れ、沸騰直前にセリを入れ火を止める。

あとは、お椀に盛り、きざみネギを散らして出来上がり。

話が変わりますが、味噌汁における、豆腐の食べごろというのを、知ってます?
豆腐を鍋の中に入れると、いったんは沈む。それが、フワフワと浮かんできたら、 それが豆腐の食べごろの合図です。

ひとつ利口になったでしょう。(イヤミくせぇ・・)

山形では、芋がら(里芋=芋の子の茎の皮をむき乾燥させたもの)を入れるらしい。 ぼくは知らなかったのだが、芋がらを取る芋の子があり、身は食べないで、茎だけを芋がら用に使用する 「赤いも(からどりいも、と同じかな?)」というのがあるのだそうだ。

一般に食されている、芋の子と比べると茎が細く、芋は食べないそうだ。

芋がらか、一回試してみるかな。

納豆汁(なっとうじる)は、秋田の代表的な郷土料理です。

って、文字色で書いてしまった。
えっ、もっと大きな文字の方が良かったろうって。
わたし、そこまで厚かましくありませんてば。だって、シャイですもん。