【 第11話 】 【 台風一禍  】

実家から 「松の木が折れて家に倒れてきている」と電話があった。

台風16号が秋田沖から青森へ抜け、吹き返しの強風が吹いていた時間らしい。

「ドンと大きな音がして、家がグラリと揺れて、随分と強い風が吹いたもんだ」
「隣の家は、大丈夫かと見てみたら何ともなかった。」とは母親の言。

のんびりとしているというか、無神経というか。
普通、家が揺れるほどの衝撃があったんだから自分ちだと思うのが普通だと思うんだが。

人んちの心配してる場合かよ。ったく。

行ってみてびっくり。まさか、これほどだとは・・・・・

見事なまでに
屋根に覆い被さっている。

1階の軒のやや上あたりから 折れている。
地上約3mといったところか。

折れた部分が、はずれて落ちたら一階の屋根を直撃するのは必須。とは言っても、この強風の中、ヘタに屋根に上って、転落などということになったら目も当てられない。

いずれにせよ、人力での撤去は不可能だし、風が止むのを待っているしかなかった。

ところがニュースでは、台風16号は北海道へ上陸したというのに、一向に風が止む気配はない。

それどころか、小雨混じりで瞬間的に強い風が吹きつけたりする。

折れた部分から ピシッピシッ と不気味な音がする。

電線に枝が掛かって、張られた状態になっていたため、東北電力に電話をした。受付は、なんと新潟のコールセンター。NTTの番号案内が沖縄にある、というのは知っていたのだが、東北電力もサービス部門が分割していたとは、知りませんでした。

ほどなくして東北電力の2人が、電線を見にやって来た。
「電線が切れているわけではないので、風がやんでから撤去してください。」 と言って帰って行った。

停電になっていたら、倒れた木の撤去作業までやってくれたんだろうか? そんな、訳はないよな。倒れた木は個人の持ち物だもんな。

自分では冷静だと思っていたのだが、やっぱり、パニクってたんだろう。
こういう場合の対処の仕方を、ちゃんと聞いておけば良かった。と気付いたのは、NTTが去ってから。

それから5分後ぐらいに、消防自動車が鐘を鳴らしながらやってきた。
強風が吹いているため、火の始末には充分に注意するようにとの呼びかけのため巡回パトロール中だった。

折れた木を見上げながら、話をしたのだが、
「今は、風が強いから何も出来ないだろうから、風が止んでから撤去した方がいい。」
というアドバイスを頂いた。

町内で、もう一件、木が倒れた家があったことを教えてくれた。
そちらは、隣の家に倒れたらしい。

それに比べれば、誰に迷惑かけたわけでもなし不幸中の幸いと言うべきか?

消防士に帰り際
「役場の方へは、さっき通ったときに連絡しておいたのだが、来ました?」
と聞かれたが、NOと答えると
「じゃ、もう一度、連絡しておきますから」と言って去って行った。

それから1時間後ぐらいに役場から消防用の赤いバンに乗って、3人でやってきた。

「こういう場合、役場の方で何とかしてもらえるんですか?」
と聞いたら、

「道路に倒れたりしたら、片づけは手伝います」
との答え。

まあ、役場としては台風による被害状況調べだろうから、そんなもんですよね。

それにしても、ただ見に来るだけで3人とは、さすがは、お役所仕事というべきか。


【2004/09/05】 ▲秋田に生まれし運命とて】  【←前へ】  【次へ→】  ↑ページの先頭へ!